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追求した先にあった"本物"の形。
移転する前も、 あとも、 これからも。
Bistro in Higashikawa Vraie -ヴレ-
  • 私は美味しいものが大好きです。
    名刺の肩書きに「たべる人」を入れてしまうくらい大好きです。

    札幌に「モントルグイユ」というレストランがありました。
    私にとって特別だったそのお店が、”街から離れた静かな場所で店を”というオーナー夫妻の夢が叶って東川町へ移転が決まった時には、何かの間違いなんじゃないかと右往左往(笑)
    どうにか中止にならないものかと願ったりもしましたが、新たに「ヴレ」という素晴らしいお店になり、水も空気も美味しく、生産者との距離も近くなるその町に根付いています。

    お店の名前を変えて移ったオーナー夫妻の想い。新しい店名に込められている気がします。
    「モントルグイユ」から「ヴレ」になったお店のツールと共に絶品のお料理を少しご紹介させてください。

    BGMはフランスの雑踏音?

    以前のお店「Montorgueil(モントルグイユ)」とのおつきあいは、まだまだひよっこだった私がお金を貯めてはちょっと背伸びして年に1、2回行くのを楽しみにしていた数年前に遡ります。

    「フレンチ」と聞けば左右に何本もフォークとナイフが並んで、白い空間に白いテーブルクロスしか想像できなかった頃。木のテーブルと、優しい音楽、小さな雑貨が並ぶ中でいただくフレンチがあると知ったのがそのお店。

    「ビストロ以上レストラン未満」というビストロに入るような気軽さで、レストランレベルの料理を味わって、というコンセプトでした。知らなかったカタカナメニューも、お肉の違いも、北海道のジビエのことも、たくさんのことをそのお店から教わりました。

    何度目かの食事の時、お店のマダムとの会話の中でデザインを生業にしているという話になって、以来ずっとショップカードや毎年のお年賀、周年記念のTシャツなどを作らせていただいたのです。

    「モントルグイユ」はフランス パリ市内にある通りの名前で、肉屋、魚屋、パン屋にケーキ屋、あらゆる美味しいお店が軒を連ねて、その通りの周辺にはレストランも多々。実際にその通りを見てみたくて行ってみましたが、ワクワクするお店ばかり。食材やデリを買ってアパルトマンで調理をして食べるのがとても楽しい場所でした。

    お店のBGMにはパリの雑踏音のようなざわめきが流れていたことも。パリのお店は日本よりもテーブルとテーブルの間が近く、席を立つときにはテーブルをずらさないと出られないほど。食事は会話を楽しむための時間でもあるので、ガヤガヤざわざわとしたBGMはパリにいるかのような気持ちになりました。

    そんなモントルグイユはしばらくロゴマークがありませんでした。
    できたのは3周年記念にTシャツを依頼していただいたのがきっかけ。お店にはお客様がフランス土産にと買ってきた置物がたくさんあったのですが、その中に異彩を放つものがありました。それをフランスのイメージをギュウギュウに詰め込んだTシャツのイラストの中に入れたところ、気に入っていただき、少しアレンジをして晴れてロゴマークに昇格(?)が決まったのです。

    それはガーゴイルと呼ばれている怪物で、ヨーロッパの聖堂を見上げると建物から飛び出すようについています。役割は雨どいらしいのですが、魔除けとして古くから聖堂にいる守り神のようなもの。そのガーゴイルはなかなかリアルな表情のものも多いのですが、モントルグイユの店内にあったのは肘をついて舌を出している、どこか愛嬌のある怪物くんです。

    ロゴマークができてからは、一度みたら忘れられないアイコンとして移転までの数年間、お店と共に歩ませていただくことができました。



    本物を求めて次の場所へ

    移転後、新しい店名は「Vraie(ヴレ)」に。
    Vraieはフランス語で「本物」を意味します。それを聞いた時に、シェフが新しい場所でやろうとしていることへの覚悟を感じた気がしました。

    東川町は大雪の水が美味しいと有名な町。自然豊かで雄大な山々を臨む場所です。そこに”本物”を掲げて行くのだとすれば、余計な装飾はしない、削ぎ落としたシンプルさが合う気がしました。

    内装の雰囲気なども教えていただきながら、最終的に新たなロゴはシェフが描いた文字がベースになっています。料理人がメモ書きのように残すレシピの文字って魅力的ですよね。

    その時はおそらくより伝統的なフレンチを追求されるんだろうなと思っていました。ですが先日訪ねてみると、モロッコやモンゴルの料理や羊の水ギョウザなんてメニューも。シェフに尋ねると「世界には美味しいものがまだまだあるなってわかったんで」といたずらっぽく笑っていました。その料理の核にフランチがあることは言うまでもありません。

    新たな場所で掲げた”本物”は、「伝統的な」ということではなくて「本質」だったのだなと腑に落ちたのでした。

    毎回口に入れるたびに「!!!」という驚きと、その後でじんわりと体に染み込んでくるような滋味あふれる料理をぜひヴレに体験しに行ってみてください。北海道の食の最盛期、夏はもちろんですが、暖炉に薪がくべられ星が美しくなる冬もオススメ。




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2019 08 16