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お米農家の1年を知って
Rice Farmer in Shiriuchi 帰山農園
  • 「パンフレットを作りたい」
    そんなお問い合わせから始まった帰山さんとのおつきあい。あれから3年が経った2019年現在もそのブランド作りは続いています。

    パンフレットのご依頼が、どうしてここまで長期間のお仕事に至ったのか。
    私たちが続けている「北海道のごはん展」をはじめるきっかけにもなった農家さんとの出会いを少しだけお話しさせてください。

    函館から車でさらに1時間ほど南西へ。
    津軽海峡に面した、深呼吸をしたくなるほど気持ちの良い風が吹く知内町に帰山農園の田んぼがあります。育つお米はゆめぴりか、ゆきさやか、ふっくりんこ、きたくりんの4種類。

    最初にお電話でお話しをして、お会いすることになりました。プランナーの赤坂さんにも加わっていただき、2人で知内町を訪れたのは2016年の冬のこと。

    実直に、真摯に米づくり・地域づくりに向き合っている帰山さんには、出会った時にはすでにたくさんのやりたいこと、夢がありました。それを実現していくためには、パンフレットが1番始めではないかもしれない。そしてパンフレットだけもないかもしない。そんなお話しをじっくりするうちに、帰山農園プロジェクトはスタートすることに。



    1年をかけた第1プロジェクト

    最初に作ったのはロゴマーク。
    これからの帰山農園のアイデンティティになる大切なマークは、田んぼで感じた心地よい風と鳥の声だけが聴こえる静けさを想って、「帰山」と言う名前から童謡の七つの子を連想して作りました。

    夕暮れて、家路に向かう時、今日のごはんはなんだろうって思ったりする。帰山農園は米を売る農家だけど、届けているのは美味しいごはんが当たり前にあり続ける”食卓の未来”そのものでした。

    この後制作した米袋は、そんな心地よい空気を丸ごとお客様にお届けできたらというイメージで、稲穂が揺れて、その向こうに山が見える、帰山農園の田んぼ風景をイメージしています。3合のミニパックは風になびいてその時で形が変わる波のような稲穂をモチーフに。

    それから夏、秋、春と季節をまたぎ農園を訪れることになります。
    ここでカメラマンの佐藤さんが加わりました。夏のジリジリとする暑さの中で青々育つ稲も、秋に姿を変え波打つ金色の稲も、どちらも本当に美しくて、どちらも目が離せない時期です。

    近所に住む帰山農園のお米を普段から食べているお子さんたちにも来ていただいて、1年を通してとても良い写真が撮れました。(この記事の風景などは佐藤カメラマンの写真です)

    撮影後、パンフレットとHPが出来上がりました。その後お取り扱いの場所も増えるとともに、お米を使った麺やあまざけなど、少しずつ商品が増えていきます。
    急がず、でも止まらずに、着実に。
    帰山さんからのご依頼をいただく度に、こんな言葉を思います。

    そして商品が増えても、1つ1つの根底に、安心で安全なものを食べてほしいという想いがある。それがわかるから私たちも安心してその作り手の提案するものを美味しくいただけるんですね。





    帰山父さんの夢、叶う

    はじめての打ち合わせで、「いつか自分の作った米で日本酒を作るのが夢」と和敏さんがおっしゃっていました。
    日本酒を作ったら知内にきた人がお土産に買って帰ってくれて、知内という場所が広がることになる。こうして自分がいろんなものを発信していくことが、少しでも地域を盛り上げることにつながったらいいな、とも。

    その夢はひょんな出会いからとんとんと進み、お話をしてから3年、この春ゆきさやかを使った純米吟醸「ましろ」がお目見えすることに。ゆきさやかの白さと、自分たちの娘のようなお酒にという想いがこめられています。

    出羽鶴や刈穂が有名な秋田清酒株式会社の伊藤社長が何度も道南に足を運んで、帰山さんはもちろん、酒屋の店主たちとも話し合いながら作り上げた知内町と秋田がつながったお酒。

    ラベルづくりもなかなかプレッシャーでした。いろんな案を考えましたが、”今までの帰山農園らしさをつめこもう”と1番最後に作ったラベルに決まりました。

    静かな田んぼ、風と鳥の声、木々の緑、清らかな水。
    そこから生まれたきれいなお米で作られた美しい1杯。
    イメージは、出会った3年前から変わらなかったのです。


    農家の1年を”体感”してイベントができた

    何度か農家さんの元を訪れたからといって、その苦労を知った気になるつもりはありません。
    でも「いろいろ大変な仕事だよね農家さんって」という漠然としたイメージを、ほんの一瞬でも体感することができました。

    このだだっぴろい田んぼ全部植えて、育てて、管理するの!?
    台風がきて倒れてしまったらもう刈り取りできないだなんて、どうするの!?
    こんな炎天下の中、何時間も作業してて大丈夫なの!?(私はすぐに具合が悪くなりました笑)

    そしてその大変さと同時に思ったことは、お米って楽しい。農業って面白い。

    知らなかったんです、品種によってなにが違うのか。
    どうしてこの品種が生まれたのか。
    いまはブランドになった北海道米が、ひと昔前までまずいって言われてたとか。
    知らない町に行くと、知らないごはんのおともがあるんだってことも。

    この面白さ、みんな知らなきゃもったいないぜよ!

    プランナーの赤坂さんと、こんなこともできる、あんなコーナーも面白い、なにより”全部を北海道くくりにしても十分に面白くなる”そんな話をして盛り上がりました。

    そしてスタートしたのが「北海道のごはん展」。

    ライターの佐々木さんも加わり3人でちまちまとはじめたイベントは、賛同してくださったたくさんの方のパワーと、道内のつくり手さんたちのおかげで、今年3回目を迎えます。もちろん帰山さんも、そして和牛農家のまつもと牧場さんも3年連続でご参加いただいています。

    デザイナーだからこそ、できる農との関わり方がある。そんなことを教えてくださったのも帰山さんだと感謝しています。


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2019 07 20