はじまりはシュトーレン
距離があるのに無性にどうしようもなく
食べたくなってしまうパンがあります。
札幌から車で2時間ほどにある当麻町で
會津夫妻が営む「まわりみち」さんのパンがそうでした。
クロワッサンの独特な形
バゲットの小麦の香り
フランス系ともドイツ系とも違う
オリジナルな食感。
はじめて食べて以来、時々お取り寄せしては
少しずつ楽しむ大好きなパン屋さんです。
11〜12月に年に1度発売される
シュトーレンがまたすごい。
誤解を恐れず言えばもはやシュトーレンではないような。
フルーツとナッツがぎゅうぎゅうにつまったオリジナルと
3種のチョコとナッツがぎゅうぎゅうのショコラ。
ずしっと重くて食べ応えたっぷり。
ちょこっとかじってコーヒーやワインを合わせる。
毎年楽しみにしていました。
そのパッケージを変えたいと思っていることを
お店のオリジナルブレンドを作っている「みちみち種や」の
お2人を通して伝えてくださったのが2021年の冬。
年が明け、雪が溶けた頃みんなでおいしいものを囲みながら
あーでもこーでもと盛り上がるうちに
2022年は5周年ということがわかり
これを機にお店のロゴやショップカードなど
もう一度見直してみたいというお話を聞かせてもらいました。
ラフスケッチのロゴ
11月のシュトーレン販売へ向けて制作がスタート。
最終的に決まったロゴは
実は一度完成させた後、
元々のラフスケッチの面白さを感じて
提案直前に差し替えたチャレンジの案でした。
つるんとしたフォルムじゃない
優しいいびつさや、気取らないラフさが
會津夫妻の試行錯誤してきた姿に似合う気がしたから。
パンのようにも見えるし
手でぎゅっと生地をこねているようにも
くねくねと曲がりくねって寄り道をしていく道にも見える…
見る人にイメージを膨らませてもらえるマークになりました。
「まわりみち」という店名は
元々この当麻町という場所に惚れ込んだ2人が
町中をまわって最終的にたどり着いてもらえたらという
願いがこめられていました。
そしてオーナーの貴史さんが作るパンは
独学と試行錯誤によってできあがっている
他のパン屋さんとちょっとちがった構成。
フランス系でもドイツ系でもないと感じていたのは
食事に合わせた時、コーヒーと合わせた時、
こんな食感でこんな香りのパンを作りたいという
イメージからはじまる「貴史さんのパン」だったから。
それは決して最短距離ではなくて
いろんなまわりみちをしてたどり着いているような、
そのまわりみちを二人は楽しんできたような、
そんな気がしたのです。
そこからお二人の楽しいキャラクターや
店内にある北欧カラーを感じられるように
オンラインショップのカスタマイズや
お店の看板制作も加わって
シンプルだけどあたたかみのある紙でショップカードを作り
最後に当初作りたいとご相談いただいた
シュトーレンの包装紙ができました。
大好きなもののデザインを担当させていただけた
とてもあたたかで幸せな時間でした。